【短】おかえり


来る保証なんてどこにもない。


約束した訳でもない。


来る確率なんて0に近い。

それでも私は彼を待つ。





時計の針が9時をさす。


今日も彼は現れなかった。

全然手をつけなかった食事に手を伸ばし口へ運ぶ。


目の前には同じ食事が並べられている。


食べ終わるとそれを持ちキッチンに行く。


そして残飯と共に捨てる。


あ〜あ、勿体ない。


こんな事なら作らなければいいのに・・・


何度も自分に言い聞かせる。


分かっているつもりでも、作る事は止められない。


彼が来るかも知れないから・・・・



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