生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「…私は、楽しくできないけど。
絶対1時間以内に終わらせるわ」
「千紗のやる気が出てきたところで再開するか!」
「一時中断してるのは、お前らだけだ。
早く手を動かせ」
ファイルから顔も上げずに、タクの冷たい声が3人の背中にぐさりと刺さった感覚がした。
「「「…はーい」」」
「返事はのばすなっ!!」
「「「はいっ!!」」」
まったく、タクは堅すぎるのよ。
だから、彼女ができないのね。きっと。
「坂桑――それは今関係ないだろ」
「ぇえ?なんでよ?!
テレパシーとかしないでくれる?」
「テレパシーなわけないだろ。
てめぇの口からボロボロと聞こえてただけだ」
「うるさいわね!
私が何をどう思っていても関係ないでしょ?!」
「だったら口に出すな
迷惑って言う言葉知らな」
「あっ!ちぃ、ケータイ光ってるよお」
ミドリは、タクの話を遮って私の携帯を見つめていた。
最新型の薄い白塗りの携帯のストラップを左手に持ち顔も上げずにこちらに突き出すミドリは、ファイルと睨めっこをしていた。
クルクルと回っている携帯をよく見れば、つまようじほどの直径をもつ円が規則正しく虹色に光っている。
「ありがとう」
光りが消えてしまわないうちに携帯を受け取り両手で開けば、そこには見慣れた名前。
縦1列に5つのボタンが、横に3列並んでいる。
その一番左上のボタンを軽く押し右耳にあてた。