生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
雄太郎がタツキの右隣に座ったのを見て口を開いた。
「何で、二人は仲が良いの?」
「え?」
「だって、普通、仲が悪いと思わない?異母兄弟でしょ?」
「うーん……。たっちゃん、何でかな?」
「雄太郎が小さい時から俺と遊んでたからじゃないかな?」
「は?なぜ、異母兄弟が小さい時から知り合いなわけ?」
ますます意味が分からないわ。この異母兄弟。
何の利益があって、長谷川家の坊っちゃんと愛人の子供が戯れるのよ。
「雄太郎のお母さん――ミサトさんは、雄太郎を身籠った、と俺の父さんに言ったんだって。
そこで、父さんは取り返しのつかないことをしてしまった、と自覚し、母さんに土下座して謝った」
「それで?」
「母さんも母さんで凄い剣幕で怒ったらしいけど……」
「らしいけどって?」
「不倫をした、父さんもミサトさんも悪い。でも、その子供――雄太郎には何の罪もないのよ、ってミサトさんに言ったんだって」
「だから、産みなさい、って?!」
「うん」
タツキのお母さんって、私が思ってる以上に器が大きくて、それでいて、命の尊さを知ってる人なのかしら。
私がお母さんの立場なら、絶対同じことは言えなかっただろうな。