生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「…ちぃ?どうしたの?」
相変わらずファイルに視線を落としているミドリの目は、左右に動いていた。
「切られた……」
「タツキさんに?」
電話の相手は分かっていたのだろう。
即答でタツキの名前が上げられた。
携帯を制服の外ポケットにいれた後、開きっぱなしのファイルに敷き詰めてある文字を追いかける。
「……うん。
今日タツキ、仕事休みだから迎え来るって言っててね。
せっかくの休みだしゆっくりしてほしいでしょ?
だから歩いて帰るって言ったのにさ!」
「アハハ!
タツキさん来るって言ったんだ?」
「電話しろ、だって」
「いいじゃん。心配してる証拠だよー」
「…そうだといいけど」
「……あのさ?
聞いていいか分からないけど、“タツキ”って誰?
しかも、仕事って社会人なの?」
雄太郎は、紙袋をガサガサ漁(あさ)っていた手を止め、顔を上げ、遠慮がちに聞いた。