生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「私の家は、代々受け継がれてきた華道家なのよ。
私には、8つ離れている姉が居たんだけどね。
その姉が、いきなりフランスに嫁ぐって言い出して……。
結局は、両親を押し切って本当にフランスに嫁いだ」
姉さんにも許婚はいたが、姉さんのことを良く理解していた人だった。
だからこそ姉さんがフランス人と結婚することを快く許してくれたのかもしれない。
「あぁー。それで、本当はお姉さんが継ぐはずだった家を坂桑が継ぐはめになったのか」
「そうそう。別に家を継ぎたくないとか思ってなかったし、いいかなって。
そしたら、“実は千紗には許婚がいるのよ”だって」
本当にあの時は驚いた。
家を継がなくてもどっちみち許婚とやらと結婚しなければならなかったことと、その許婚が姉さんの幼なじみということ。
しかもその幼なじみのことが好きだった私に。
いつからだろう……。
タツキを好きになったのは……。
自分でも曖昧な記憶の中、気力で記憶の糸を手繰(たぐ)り寄せ目をとじ瞼(まぶた)の裏に幼い頃の思い出を再生する。
「……よし!この紙袋分終わったー!」
雄太郎の声で思い出の再生を遮られた私は、自分の手元にあるファイルを見ればあと1ページで終わるトコロだった。
ツルツルとしたページに指を置き親指を人差し指に向かって滑らせページをめくる。