生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
この時間になると生徒がまったく見当たらない。
校門のトコロまで来て雄太郎の背中を見ながら立ち止まった。
「千紗……?どうしたの?」
足音がしなくなって気づいたのか不思議そうな顔をして振り返った。
「だって…悪いなぁって思ってさ」
「はぁー。気にするなよ!友達だろ?
千紗も一応女の子なんだからさ!」
「一応って何よっ!一応って!」
再び歩きだして雄太郎を抜かして校門から出た。
「ごめん、ごめん!」
乾いた笑い声を含み早足で私の隣に並んだ。
「ねぇねぇ!
タツキさんのこと好き?」
「はぁ?なんでそんなこと……」
「だって許婚だって言ってたからさぁ……
嫌々なのかなって思ってさ」
「嫌々?そんなわけないわよ。
私は、タツキのこと好きよ?
そうじゃなきゃ、一緒になんて住めないし」
「うっそっ!
一緒に住んでるの?!」
「え?あ、うん。今年の私の誕生日が過ぎたら入籍するらしいよ」
「らしいって……他人事だなぁ」
「だって実感なんてないし…」
本当に全部家が決めてる。
何もかも私達の気持ちとは関係なしに話を進めている。
別に、タツキのことが好きだし、結婚とかいつでもいい。
でも、せめて楽しみたいと思っているのは私だけなのだろうか…。