生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「…結婚かぁー。俺には程遠いなぁー」
「そう?雄太郎一途っぽいから、高校のときから付き合ってた子と結婚しそうだけど」
「そうかー?まぁ、一途だけどな!」
何気ない話をしていると黒塗りでシンプルな車が私達を追い越し目の前に止まった。
この車……、もしかして……。
バタンという音ともに、平均身長の男が一人車から降りてきた。
「ちーさー。電話してって言ったじゃん」
「千紗、もしかして……」
驚いた表情を私に向ける雄太郎は、瞬きを繰り返していた。
「そのもしかしてよ、雄太郎。
タツキ?私は、歩いて帰るって言ったじゃない」
「だからって………」
最後の方は、何て言っているのか分からなかったが雄太郎と一緒に居たのが気に入らないのだろう。
「千紗!俺、帰るよ!邪魔しちゃ悪いし」
「えっ!でもっ!…あっ……行っちゃった」
雄太郎は、くるりと進行方向を向けば軽やかな足付きで駈けていった。
「……千紗、乗ればー」
明らかに不機嫌そうなタツキに促され車に乗り込んだ。
車内には、備え付けのオーディオから洋楽が流れているだけでどちらとも口を開こうとしなかった。