生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 千紗なんてミドリさんの隣――俺から対角線上に机を挟んだ所に移動しちゃったし。

「奏子、彼女いるとか聞いてないしっ」

「俺のプライベートを、生徒に言う必要ないでしょ」

「何よ、それ〜。だってぇ、奏子、せんせぇのこと好きなんだよぉ?」

 くりくりっとした焦げ茶色の瞳を潤ませ、眉を寄せる。

 ……あぁ。
 こういう表情(かお)、一度でいいから千紗にやってもらいたい。

 普段は強気な千紗だけど、こんな感じで『タツキ、好きよ?』なんて、言われたら……。

 絶対、無理だろうけど。

「俺は教師、奏子さんは生徒。特別な感情なんてない」

「ふんっ!どうせ、良くあるパターンでせんせぇはセートカイチョウとデキてるんでしょーっ?!」

 俺から離れてくれたと思ったら。

 腕を組んで、鼻を鳴らし、俺を睨み付けながら言い放った。

 本当のことだからこそ、ここは冷静に対応しなくちゃいけないんだけど、驚きを隠し切れてないミドリさん。

 とりあえず、咳払いをひとつしてため息をつく。

「ない。俺は、生徒には手を出さない。それに、一緒に住んでる人の名前、教えようか?」

「何ていうのぉ?」

「コマチ」

「………コマチぃ〜?」

「そう。気が強いけど可愛いんだから」

 ペットは飼い主に似るっていうけど、あれは事実だよね。

 実際、千紗とコマチは良く似てるんだから、さ。


< 196 / 361 >

この作品をシェア

pagetop