生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
千紗なんてミドリさんの隣――俺から対角線上に机を挟んだ所に移動しちゃったし。
「奏子、彼女いるとか聞いてないしっ」
「俺のプライベートを、生徒に言う必要ないでしょ」
「何よ、それ〜。だってぇ、奏子、せんせぇのこと好きなんだよぉ?」
くりくりっとした焦げ茶色の瞳を潤ませ、眉を寄せる。
……あぁ。
こういう表情(かお)、一度でいいから千紗にやってもらいたい。
普段は強気な千紗だけど、こんな感じで『タツキ、好きよ?』なんて、言われたら……。
絶対、無理だろうけど。
「俺は教師、奏子さんは生徒。特別な感情なんてない」
「ふんっ!どうせ、良くあるパターンでせんせぇはセートカイチョウとデキてるんでしょーっ?!」
俺から離れてくれたと思ったら。
腕を組んで、鼻を鳴らし、俺を睨み付けながら言い放った。
本当のことだからこそ、ここは冷静に対応しなくちゃいけないんだけど、驚きを隠し切れてないミドリさん。
とりあえず、咳払いをひとつしてため息をつく。
「ない。俺は、生徒には手を出さない。それに、一緒に住んでる人の名前、教えようか?」
「何ていうのぉ?」
「コマチ」
「………コマチぃ〜?」
「そう。気が強いけど可愛いんだから」
ペットは飼い主に似るっていうけど、あれは事実だよね。
実際、千紗とコマチは良く似てるんだから、さ。