生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
ちょっとやりすぎたかな、なんて後悔しながら額にキスを落とした。
「……もう。タツキなんか嫌い」
「傷つくんですけど」
「嘘。好きよ、大好き。……でもね」
一呼吸置いた千紗は、俺から体を離し真剣な顔つきで俺を見つめた。
「タツキは……、……姉さんが好きなの?」
「は?」
「だから……、その……」
「幼なじみとしては好き。でも、女としては無理。っていうか、千紗の方が全然良い」
紗葉は、友達としては大歓迎だけど、女としては脱走したくなるね、うん。
だってさ!
あんなふわふわしてそうな感じなくせに、女王様気質なんだよ?
やんわり可愛く、言っちゃうもんだから、断れないしめんどくさいし。
「ホントに?」
「うん、もちろん。だいたい、そんなこと質問するのもおかしいでしょ?紗葉は、結婚しただろ」
「だって、最近、よく姉さんと電話してるから。私、てっきり姉さんの代わりなんじゃないかって……」
「あぁ、電話ね。それは、近々旦那と子供を連れて日本に来るとか来ないとかで迷ってるらしくて。
それに、勝手にフランスに嫁いでっから一度も日本に来てないから、おじさんやおばさんが怒ってないか心配なんじゃない?」
千紗は、細くため息をついて「良かった」と呟いた後、本棚と俺の間からするりと抜けた。