生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
とりあえず、気になる店に次々に入っていきほしいものは即購入。
ずいぶんと満足したみたいで、帰りの車内でぐっすり。
あと1時間くらいで家に着くっていうときに、千紗の携帯が鳴り響いた。
「千紗、電話」
「………んっ」
眠たそうに携帯を掴み耳に当てる。
「……はい。あ、葛城さん。いえ、大丈夫です。……ありがとうございます。はい。え?花束?」
誕生日だから、なぁ。
千紗の実家に行ったほうがいいな。
一瞬。
びくんっと跳ね上がった千紗は、両手で携帯を握りふるふると震えていた。
「………っ!!?もしかして、その花束って、……17本の赤いチューリップ?」
赤いチューリップ?
バラじゃなくてチューリップかぁ。
それにしても、千紗、ずいぶんと具合が悪そうじゃないかな?
「分かりました。はい。すぐ向かいます。
………タツキ、家に向かってもらっていいかしら?」
「はいはい。もう向かってますよ。何、赤いチューリップ17本って」
「そう、ありがとう。
……えぇ。たぶん、お父様の知り合いだと」
「そっか。具合、悪い?」
隣でそわそわしている千紗の右手を握った。
でも、その右手が異様に冷たくて。
驚いてさらに強く握りしめてしまった。
「た、タツキ。痛いわよっ……」
「ごめん。でも、千紗の手が冷たいから」
今にも抱きしめたい気持ちを押さえ、両手でハンドルを握り坂桑家へと向かった。