生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「……別に。誰だっていいでしょっ」
「アイツって言ってるから、たっちゃんじゃないよねぇ?」
ニコニコしたまま雄太郎は、『タツキ』のことを『たっちゃん』と呼び、じりじりと近づいてくる。
ミドリとタクは知らないのよ?
……雄太郎とタツキの関係、異母兄弟ってことを……。
「雄太郎っ!」
「いいよ、別に。ミドリちゃんとタクなら、俺とタツキセンセーが異母兄弟ってバレたって。
それより、千紗のことが気になるし?」
「タツキにも雄太郎にもタクにも。関係のないことよ」
「そっかぁ。ミドリちゃんだけが知ってるってことは、浮気?」
「許婚だもんな。無理やり結婚させられるんだろ?お前らは」
「違うわっ!!やめ、て……っ!」
雄太郎の黒い笑みに、タクの冷たい視線。
ぐるぐると回る4年前の悪夢に、立っていられなくなり膝から崩れ落ちてしまった。
そんな私をすれすれのところで雄太郎が抱きとめた。
「危なっ。千紗ぁ、俺、たっちゃんに怒られちゃうんだけど」
「……っ。雄太郎が悪いんでしょ?」
「ちぃ……」
「分かったから。ミドリ、泣かないで。ちゃんと、全部話すわよ」
泣きそうになるミドリの頭を撫でた後、雄太郎から離れて椅子に座った。