生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 浮気だなんて言わせない。

 許婚だからって無理やり結婚するわけじゃないんだからっ。

 私の隣にミドリを座らせて、正面に雄太郎とタクに座ってもらう。

「どこから話せばいいの?」

「“アイツ”って誰か聞くかな」

「………佐野泰明」

「どこの人?」

「私とミドリと同じ東中の同級生。雄太郎とタクは、たぶん知らないと思うわ」

「うん。知らない。タクは?」

「俺もだ」

 知ってたら、驚くわよねぇ。

 ……言わなきゃダメなのよね?

 でも、どうしても吐き気と目眩がして今にも卒倒しそうなんだけど。

「……佐野は、私の“ストーカー”だった。中1の春から中2の秋前までだけど」

「でも、単なる“ストーカー”じゃないよね?」

「中1の春から冬までは、ただ、あとをつけられてたくらいで軽かったのよ」

「なんとなくは気付いてたのか?」

「えぇ、まぁ。薄々はおかしいなとは思ってたけど、まさかこんなに近くに――佐野だったなんて考えもしなかったわ」

 家に帰る途中。

 気味悪さに身震いを覚えて、何度も振り返ったのを覚えている。

 でも、後ろには誰もいなくて。

 いつも気のせいにしてたんだと思う。


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