生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
アイツは来る日も来る日も、私に近づいてきては『ミドリさんのこと、裏切ったんだね』なんて囁いては去っていく。
「別れたのに佐野くんはそれを認めないで、ちぃに付き纏ったの……。それに気付いた祥也くんは、ちぃやあたしを守るために」
「自分を犠牲にした」
「それってどういう……」
「祥也は、私達のためにやりたかったことを――将来の夢を闇に葬った」
祥也は教師になるんだって言ってたのに……。
「佐野の父親は、祥也の父親の会社――神崎産業に務めていたのよ。
……佐野の家族を地方に、って祥也が頼んでくれた……」
「ショウは、佐野の親父さんの人事異動を条件に会社を継ぐことを呑んだんだね」
だからなのかもしれないわ。
親のレールの上を歩く必要になった反動からの女遊び。
別に、違うっていう可能性もあるんだけど。
「そうよ。佐野が転校してから平和な日々が続いてた……。
やっと、タツキと幸せになれると思ってたのに」
「俺達が、千紗とミドリちゃんの幸せ、守ってみせるよ」
「……ダメよ。もう、嫌なの。私の所為でまた、なんて、耐えられない」
「俺は、片親でカフェバーを経営してるだけで、特にリスクはないよ?」
「俺も、だ。ただのサラリーマンの家だからな」
だとしてもっ!!
……頼ることは、出来ないわ……。