生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 重い身体は意外と簡単に持ち上がり、視線の高さが変わった。

 私の幸せは私が守る。

 他人に頼ったから、幸せを掴む前にまた不幸がやってきたのよ。

「大丈夫。まだ、来るかどうかなんて分からないじゃない」

 生徒会室のドアノブをキツく握りしめながら振り返り、3人に向かって笑いかける。

 分かってる。

 でも、ただ逃げてるだけで。

 アイツは――佐野泰明は、必ず私を迎えに来ると。

 静かにドアを閉め、ため息をつきながら冷える廊下をゆっくりと歩く。

 カタカタと身体が震えるのは、寒さだけじゃない、気がする。

 正直、佐野のことが怖い。

 佐野が転校したのは中2の秋で、タツキを紹介されたのは中2の冬。

 そんな短時間で『男』に対する恐怖を克服なんてできなかった。

 だから、嫌だったの。

 昔から好きだった『タツキ兄ちゃん』を拒んでしまうんじゃないかって。


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