生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 疲れを忘れ、4階にある音楽室へと階段を駈け上がる。

 校歌を歌ってもらう声楽部に段取りの確認を取り終え、廊下を闊歩。

 その途中、少しグッタリとした雄太郎と合流して体育館に向かった。

「ねぇ、千紗も緊張するの?」

「当たり前じゃない。でも、卒業式よりましかしら」

「え?何で?」

「入学式は、在校生いないじゃない。友達がいないほうがいいのよ」

「確かにね。そういえば、ミドリちゃんとタクは?」

「ミドリは祝辞の掲示で、タクは1年生の担任のところじゃない?」

 手元にある資料(っていっても生徒会長のあいさつなんだけど)を見ながら歩く。

 若干よ、若干。

 普通に緊張してるのよ。

 親御さんでいっぱいになった体育館に脚を踏み入れ、席に向かう。

 席にはミドリしか座っておらず、疲れからなのかうとうとしていた。

「ミドリ、お疲れさま」

「……ふぁ。ちぃー」

「祝辞、多かったの?」

「うん。多くて、しかも上まで届かないから大変だったよぉ。でもねっ。ヒロっちが上の方だけやってってくれたんだよ」

「そう。良かったわね」

 少しミドリと話をしていれば、疲れた、という雰囲気を出したタクがやってきた。


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