生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 静かにドアが開く音がして「まだいたの?」とタツキの声。

「これから帰ります」

「たっちゃん、今日から千紗は俺と帰るから」

「雄太郎っ」

「……は?」

 はぁ。何でこう雄太郎ってストレートなのかしら。

 もっとオブラートに包むとか考えてくれたっていいと思わない?

「バレそうなんだよね。千紗とたっちゃんのこと。バレてクビになるよりかましでしょ?」

「………別に」

 あぁ、もう。

 長谷川樹、不機嫌モードに入りました〜。

 ったく、タツキの性格を知ってるくせに、雄太郎も雄太郎よっ。

「私が卒業するまで、一緒にいられるようにするための得策よ。バレたら、意味がないじゃない」

 理由はそれだけじゃないんだけど、これだけでそんな顔するなら。

 佐野のことなんて、余計話せないわ。

「はいはい。詳しくはあとで聞く」

 不機嫌になったタツキは、生徒会室をあとにした。

 そんなに不機嫌にならなくたっていいじゃない、まったく大人げないわね。


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