生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「ってことで、千紗。帰ろっ」
白い歯を見せて笑う雄太郎は、さっきのタツキと真逆。
鞄を肩にかけた私は、生徒会室を出て廊下を真っ直ぐ歩きだした。
「あっ。怒ってる?」
「怒ってないわよ。ただ、帰ってからどうやって説明しようか考えてるの」
「たっちゃん、ヤキモチ妬いてたから今夜は大変だねっ」
「楽しそうに言うんじゃないわよ」
「はははっ」
ちょうど玄関が見えてきたところで、雄太郎の乾いた笑い声が響いていた。
何が楽しいのよっ。
でも、確かに今日の夜は危ないかもしれないわねぇ……。
「…………っ」
さっきより玄関に近づいた私は、誰かの息を呑む音を聞き、一瞬脚を止めた。
何かあったのかな?なんて思いつつ、告白とかの現場だったらどうしようなんて馬鹿げたことを考えながら、再び脚を動かした。
実際問題、その予想は当たっていたみたいで。
玄関では小さなミドリを包み込むようにタクが抱きしめていた。