生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
ケンカ、か?
いや、最近はケンカというケンカはしてないはずだから、候補から抜けるな。
じゃあ、何か怒らせることでもしたか?
浮気なんて一切してないし、奏子さんとも、先生と生徒としてキョリは守ってる。
昨晩、千紗は。
『………タツキ』
甘く、色っぽいのは声だけでなかった。
艶やかな髪は、ふんわりとしていて、柔らかそうな唇はどれも誘っているようにしか思えない。
風呂上がりの俺は、ゆっくりとベッドの上にいる千紗に近づき、キスを落とせば。
千紗は、嫌がることなく受け入れたし、いつも以上に積極的だった。
『千紗?ずいぶんと積極的だけど、どうしてほしいの?』
『私に言わせる気なの?』
『ウソだよ、ウソ』
今思えば、あの時の千紗は“変”だったのかもしれない。
なのに、俺は千紗がいつもと違うことに気付かず、嬉しくて舞い上がってたんだ。
『ごめんな、さ、いっ。タツ、キ……。私には貴方しかいないって分かってる…けど。お願い、信じてっ……』
全てが終わってから、千紗が俺にしがみついて泣きながら言った言葉が頭に響く。