生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


『千紗に聞いてないわけ?』

「昨日帰ってから聞こうと思ったんだけど、見事にながされた。それに、朝っていうかさっき起きたら、千紗は置き手紙を残して実家に帰っちゃったし」

『うっそ!別居?!』

「なんだ……。雄太郎は知ってると思ってたのに、知らないのか」

『俺が知ってるのは、千紗と偽カップルを演じること。だから、一緒に帰るって言ったんだ』

「……え?“偽カップル”ってどういう」

『バレそうだって言ったでしょ?
あれね、たっちゃんと千紗がデキてるっていう噂が広がっちゃってて。クビになったら、塾講師から教師になった意味がなくなる。
だから、俺と千紗が付き合ってるってことにすることにした』

「……別に俺はクビになってもいいのに」

『まぁ、ウソだとしても結構キツいよね。でも、信じてくれない?』

 信じる、か……。

 千紗も雄太郎も、口を揃えて『信じて』って言うんだよっ。

 それに、まだ気になることがあるっていうのに、もし本当だったらと考えると、怖い。

「なぁ、雄太郎……。俺は、4年経っても思ってくれてるヤツに勝てると思うか?」


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