生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
『は?何、4年前って。っていうか、たっちゃんと千紗は婚約してるんでしょ』
「そうなんだけど、さ。不安なんだよ」
『じゃあ、さ。千紗は、今まで違う男が好きなのに、たっちゃんに「好き」とか「愛してる」とか言ったんだ?
俺は、千紗がそんな人じゃないと思うんだけど。
たっちゃんのこと話してるときだって、なんだかんだ言ったって、その言葉の節々には「大好き」って感じられたんだよ?
なのに、たっちゃんは不安っておかしいんじゃない?』
優しい口調の中に、怒りが含まれているのが感じ取れ、しかも電話越しなのに、怒りを噛み殺しながら話す雄太郎の顔が目に浮かぶ。
雄太郎の言っていることは、正しい。
正しいからこそ、自分の考えに腹が立ち、いかに浅はかだったことか。
俺たちの出会いや出発点に“許婚”を利用したのは確かなことではあるけど、俺は千紗が“許婚”だから好きになったんじゃない。
ひとりの女として、魅力があったから。
まだ中学生だったのにも関わらず、大の大人が惚れてしまうような、魅力が千紗にはあったんだ。
「そうだよな……」
『っていうかさ。千紗とたっちゃんって、何がきっかけで恋人になったわけ?』
がらり、と。
さっきの威嚇するような、柔らかそうに見えて鋭い声音と打って変わって、からかうような無邪気な声が耳元で響いた。