生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
『あー、たっちゃんが言ってた許婚?婚約者?って千紗だったんだね。俺びっくりしちゃった』
「あれ?言ってなかったっけ?
てかさ、ただ単純に俺と千紗の邪魔したかったんだろ?」
『まぁね。それもあるけど、俺の所為でケンカしてないかなと思ってね』
「一応心配してくれたんだ」
『うん、一応、ね』
「まぁ、ケンカするほど仲が良いって言うからね」
『そうだね。俺これから用あるから、またね』
終話をつげる音が耳に響き携帯を閉じた。
雄太郎と千紗は、ただの友達――。
千紗は、そう思っているかもしれないが雄太郎はどうだろうか。
もしかしたら、以前から好意を抱いていたとか、本当は今日告白するつもりだったとか………。
考えたらキリがないことなんて分かっているはずなのに、悪い方向ばかり思考が働いてしまう。
雄太郎も雄太郎で、千紗に好意があればさっきの電話で宣戦布告をしていただろうな、と考え俺は、ベッドですやすや寝ている千紗の横に腰掛けた。
「気持ちよさそうに寝てるなー」
あまりにも気持ちよさそうでこっちまで眠くなってくる。
少しの期待と共に千紗の頬を突くが無反応。
「はぁー」
そういえば、千紗って寝るとき俺に背を向けてるな。でも、朝になると俺の方を向いてるし………。
本当は、どっち向いて寝たいんだ?
俺は、腕枕とかして寝てもらいたいっていう願望があるけど、どうせ却下なんだろうな……。
「……俺も寝るかな」
静かに呟いた後、ベッドの端の方で寝ている千紗を引っ張り、俺と向かい合うように動かしたあと抱きしめながら寝ようと思ったが、これでは寝込みを襲いそうだと思い抱きしめるのを諦めた。