生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「見てたでしょ。ちゃんと食べてるじゃない」
空になったお弁当箱を振りながら雄太郎を見れば、気の抜けた返事をくれた。
まぁ、お弁当箱は一回り小さくなって、夕御飯は食べない日もあるけど。
体重は減ってないはず。
だって、ミドリが毎日抱きついてきて、持ち上げようとするんだもの。
「だよね。……そろそろあっちが動き始めそうだな……」
「雄太郎。笑顔、笑顔」
パッと視線を上げてニカッと笑う雄太郎。
その眩しすぎるくらいの笑顔から無意識に目線を逸らしてしまうのは、きっと。
会いたくて、抱きしめてもらいたい男(ひと)に、似すぎているから。
たぶん、雄太郎も気付いてる。
そのことには触れないだけで。
「次の授業、移動よね?」
「俺のクラスと合同だけど」
「そっか……」
「一緒に行く?」
「……あっ、ミドリを迎えに行ってもらえる?たぶん、昼練してると思うから。はい。これ持って」
「オッケー」
軽く手を挙げて自分のお弁当箱を持った雄太郎は、首を回しながら自分の教室へと戻っていった。