生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
ホントに遠いっていうか、あと2分でチャイム鳴っちゃうじゃないっ。
もう小走りに近い感じで、廊下を駆ける。
この角を曲がったところの階段を上れば教室に着く、という思いを乗せてタンッと角を曲がった。
私の軽やかな足音は、床と上履きが擦れ合う音に消えた。
「――っ!?」
グッと口元を押さえられ、悲鳴も上げられない。
目線を下に向けると、ゴツゴツした手のひらが私の口を押さえつけていた。
背中には気持ち悪いほどの、生暖かさが布越しに伝わる。
ドクドクドク。
心臓から嫌な音が漏れ、キンと頭に鋭い光が交差し点滅し不安の波が押し寄せる。
キーンコーンカーンコーンと、私と正反対な軽快な音が響いた。
「ふっはっはっは!!」
突然耳元で聞こえた笑い声に、肩を上下させたのと同時に、不安は的中してしまった。
嫌だ嫌だ嫌だっ!!
ギシギシと音が聞こえそうなほど強い力で身体を締め付けられ、脇腹には指が食い込んでいる。
「やっと捕まえた」
耳元で、呼吸にも似た声が通り過ぎていく。
――佐野っ!!