生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「そのことを長谷川先生には…」

「言ってないよ。だいたい自分の言いたいことだけ言うんだ、アイツは」

「これからも言わないでもらえません?」

「別にいいけど。じゃあさ、ホントのこと、教えてもらえる?」

「ホント、の、こと……?」

 石谷先生にとって、何がホントのことにあたるのか分からなくて。

 でも、眼鏡の奥に潜む瞳はギラリと鋭く光っている。

「俺が聞きたいのは、実家に帰った理由。何で林と付き合ってるか。
それと、その腕の痣とか……。腹とかもっとありそうだし」

 逃げられそうにない、と思った私は、石谷先生の知りたいことをかいつまんで話した。

 当然、4年前のことも絡んでくるわけで。

 言葉に詰まる私に代わって、やはり寝ずに起きていたミドリが話してくれた。

「……ほう。なーんか、色々あったんだな」

「このことは――」

「自分で長谷川に言いたいだろ?だから、俺は言わない。大丈夫。俺もお前たちと口裏合わせるからさ」

『ありがとうございます』

 私たちが石谷先生にお礼を言ったのと同時くらいに、授業終了チャイムが鳴り響いた。


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