生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「……千紗……」

 ギシリと保健室のベッドが軋む音と共に、ふわりと頬が撫でられた。

 すぐそこに、タツキがいる。

 今すぐにでも、飛び起きて抱きしめたい気持ちを必死に噛み殺し、狸寝入りに集中した。

 タツキは何度も何度も、起きて、と言わんばかりに私の頬に優しく触れる。

 その度に、ギュウと心臓が掴まれて、苦しい。

 今、我慢出来ずに起きてしまったら、私はきっと実家からマンションへと戻ってしまう。

 それだけは避けなくてはいけない。

 だって、また一緒に暮らしたら私に何が起きてるかだってバレるし、頼ってしまう。

「起こすなよ」

 そう冷たい石谷先生の言葉に助かる気持ちもあるけど、無理矢理にでも起こして抱きしめてほしい、という気持ちもある。

 相反する気持ちに心が揺れる。

 それに拍車をかけるように、タツキはついばむような軽いキスを何度も落とした。


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