生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「ダメ?」
「ダメに決まってんだろっ。バカか、てめぇはっ!」
「だって、絶対起きるよね?」
「起きるとか起きないの問題じゃねぇんだよっ。お前、嫌われるぞ」
「嫌われてもどっちみち結婚するし」
「良い方向に捉えてんじゃねぇよ。
あー、もう。俺は、疲れた。帰れっ。
とっとと、坂桑のいないマンションにでもひとり寂しく帰ってろ」
石谷先生の心の叫びともとれるのを聞いて、タツキの手がピクリと止まった。
はぁ、と。
近くでため息が聞こえ、どうすることも出来ない私は、タツキの声が聞こえるのをじっと待った。
「なんで石谷は、俺の傷をえぐって、しかも塩を塗り込むわけ?」
「嫌なら帰れよ」
「帰っても誰もいないから寂しいんだよ。今日、石谷ん家泊まろうかなぁ」
「ふざけんな」
呆れたような声の石谷先生は、再び仕事を始めたのか、カタカタとキーボードを打つ音が響く。
それに乗せて、タツキも私の頭を再び撫で始めた。
リズムの良いキーボードの音と、タツキの手の温かさや優しさに、次第に遠ざかっていた眠気が近づく。
私は引きずられるように、眠りに落ちた。