生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
カタカタと響いていた音がピタリと止まる。
「は?」
「狸寝入り下手くそだねって言いたいんだけど」
「だから、なんだよ」
「別に〜」
再びカタカタと音が響く中、俺は再び千紗の寝ているベッドに近づく。
すやすやと気持ちよさそうに寝る千紗の髪にそっと触れる。
「……ん」
かすかに動く千紗が可愛くて、額に軽いキスを落とした。
「………タツ、キ……」
「ん?」
寝言、か。
千紗は布団を口元まで引っ張り、何事もなかったように夢に落ちていった。
「長谷川」
「なに?」
「帰んねぇのかよ」
「帰りたくたってまだ仕事終わってないんだよ」
「だったら、職員室か生物準備室にでも戻って働け」
キーボードを打つのを止め、振り返った石谷は、眼鏡を外し目頭を押さえていた。
はぁ、と石谷のため息以外に聞こえるのは、柱時計の秒針。
会話がなくても、こうして千紗の近くにいられて、触れることがどんなに嬉しいか。
こいつは分かってる。
それに、若干千紗の頬が赤い理由も知ってるんだろうなぁ。