生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「ふーん。まあ、どっちにしろ聞くなら慎重にな。お前ももう大人なんだし、包容力くらい身につけろよ」
石谷は「自分は全部知ってるけどな」といった感じに言い放った。
その感じが無性に腹が立って、でもぐっとそれを喉の奥に押し込んだ。
「お前ってさ」と、石谷は椅子の回転を止めて、立っている俺を下から見上げる。
「千紗ちゃんに怒ったことある?」
そう唐突に。
確かに千紗を怒ったことはない、けど今は関係のない話。
そう思って「関係ないだろ」と呟き、腹一杯になった鞄を持ち上げた。
「関係あるね」
と鞄を持った俺の腕をガシリと掴む。
「俺に怒ったことだって数えるくらいしかないくせに、千紗ちゃんに怒るはずないもんな」
「怒ったことあるよ?」
「……たまには怒ってやることも必要だと思う。優しいだけじゃ駄目なんだよ」
分かったなら行けよ、と石谷はふてくされ気味に言い放った。
「行けよって……。ここ保健室じゃないんですけど。石谷も早く出ろよ」
「はいはい」
石谷と一緒に生物準備室を出た後、やっぱり今日は意地でも車に乗っけようと思い、生徒会室に向かう。
もちろん、途中まで石谷と廊下を歩いたものの、千紗のことを詳しく聞けなかった。