生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
歪んだ愛なんていらないわっ!
◆◆◆
やっぱり嘘をつくってことは、気持ち良いことじゃないわね。
しみじみそう感じながら、昨日まで雄太郎と並んで歩いていた道に脚を進める。
今日も雄太郎に、帰ろうかと言われた時、私は。
『今日、タツキと帰るの。ごめんね?』
『そっか。でも、大丈夫?』
『うん。送ってもらうだけだから。じゃあ、もう行くわね』
保健室での小さな決意を胸に、雄太郎に、ミドリに、タクに、嘘をついた。
だって、けじめを付けるにはこれしかなかったんだもの。
大通りではあるけれど、時々車が通ったり、特に人通りが多いわけではない見通しの良い道。
私の足音と重なるように、もうひとつの足音が聞こえてくる。
ゾクゾクと心臓が嫌な音を出すけれど、そんなのに構ってる暇はないのよ。
後ろに意識を集中させつつ、家路を辿る。
今日は天気が悪かったからか、厚い雲が空を包み、春なのに辺りは薄暗い。
そのため、どんどん不安ばかりが増え、恐怖と一緒になって私の心を押し潰す。
一歩一歩、不安が滲み出る足取りで大通りから離れた。