生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 大通りと比べると、ほとんど人や車が通らない。

 コツコツコツ、と。

 気味が悪いほど自分の足音が響き、耳につく。

 毎日通る見慣れた道。

 最近は雄太郎と一緒に歩いていたから、自分の足音が耳につくなんてこと、なかった。

 だから余計。不安に感じる。

 いつも以上に広く感じる道で、私は自分の肩を抱きしめながら歩く。

 ………あっ。後ろの足音が消えた。

 それでも、気配は消えていない。

 だんだんと近づく気配は、背中にザクザクと刺さっている気がするくらい、冷たく感じる。

 どうしよう。今更後悔しても遅いのに。

 遊具も何もない、だだっ広い広場の周りを囲むブロック塀の曲がり角を曲がったところで。

 グッと右肩が重くなった。

 一瞬、やっぱりか、とも思ったが、どうしても振り返りたくなくて、でも足が動かなくて。

 背中に鈍い痛みを感じるまで、私はびくとも動けなかった。


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