生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「ミナミ先輩、仕事ほしいですよね?」
開口一番にそんなこと言うから、呆気にとられる私と佐野に向かって、パシャリ、と。
……え?パシャリ?
音の方向には、携帯カメラを向けているあの女性。
「来れるって?」
「ああ。飛んでくる」
「ヨウ、逃げないように捕まえといて」
「はいはい」
ゆっくりとした足取りでこちらに向かう彼を見て、佐野は状況を理解したのか慌て逃げようとするが、遅かった。
彼はすかさず佐野の腕をガシリと掴む。
カツカツとヒールの音を響かせながら近づいてくる女性は、私の目の前でサングラスを外した。
彼女は二重の大きな瞳を持つ綺麗な女(ひと)。
「あなた大丈夫?」
「……ありがとうございます」
「胸元とか酷いけど……」
気付かなかったのがおかしいくらい、私の胸元にはありえないほどのキスマーク。
慌てて胸元を隠し、俯く私に「これ使って」と何かを掛けられた。
顔を上げれば、スーツの上着が掛けられている。