生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「ヒナー。お前、先輩をこき使うなよっ」

 次に現れたこの男性は“ミナミ”さんなんだろう。

 黒髪短髪。この人もスーツを着込んでいた。

「先輩遅い。ほら、強姦未遂」

「ミナミ先輩、こんにちは。さっき証拠写真をメールに添付して送りました」

「おっ、ハナちゃん。分かったよ、連れていくよ」

 ミナミさんが佐野を連れていく後ろ姿を眺めながら、目の前にいるこの女性は“ハナ”さんなんだと薄らと思っていた。

 不意に。頭を撫でられ視線を上げると、穏やかな表情なハナさん。

「あたし達の家、ここから近いから行くよ。シャワー浴びたいでしょ」

「……あ、でもっ……」

「いいよ。気にしないで。
……あっ。自己紹介してなかったね。あたしは、新木 華(あらきはな)」

「おい、華!早くしろ」

「はいはい。後であなたの名前は聞くから。ああ、あいつは日生 陽(ひなせよう)。
……立てる?車、あっちだから」

 私を支え立たせてくれる華さんに連れられて、黒い乗用車に乗り込んだ。



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