生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
黒の乗用車に乗って約10分で着いた先は、そこそこの大きさの一軒家。
「どうぞ」
「あ、はい。お邪魔します……」
小学生の頃、よく『知らない人にはついてっちゃダメよ』と言われたけれど。
知らない人だけど、怪しい人じゃないから大丈夫よね?
華さんの笑顔に連れられて、恐る恐る靴を脱いだ。
玄関から少し先に見えるドアの向こうは、左から対面式のキッチン、ダイニング、そしてリビング。
ダイニングテーブルには四脚の椅子が納まっていて、リビングには茶色のラグにガラステーブル、その周りには二人掛けの低い焦げ茶色のソファー。
「ソファー座って。温かい紅茶でいい?あっ、でもその前にシャワーがいいかぁ」
「あのっ……」
「ん?あっ、名前聞いてなかったね。学校は英明(えいめい)みたいだけど」
英明――英明高等学校は私の通う私立高校。
制服を見て判断したらしく、華さんは「英明は制服可愛いから」と呟いた。