生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「来たな……」

 ぽつりと陽さんは呟いて、リビングから玄関へと脚を運ぶ。

 玄関の方から何やら言い合う声が聞こえてくるものの、足音がこちらに近づいてくるのが分かる。

 カチャっとドアが開いた向こうには、上はTシャツな下はグレーのスウェットとラフな格好の啓輔が現れた。

「ヒナふざけんのも………はあ?何で千紗がいるんだよ」

「………助けてもらったの」

「助けてって、誰からだよ」

「………佐野」

 言った瞬間。啓輔は大きく目を見開いて「だって、佐野は」と呟いた。

「今年。英明に入学してきたの」

「何で俺に言ってないってことは、祥也にも言ってねぇんだろ?何でだよ」

「迷惑かけたくなかったのよ」

「……とりあえずキリがねぇから」

 呆れた様子の啓輔は、ため息をついてその場にしゃがんだ。

 「おい、啓輔」と、陽さんがコップに入ったアイスコーヒーを啓輔に渡した。


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