生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「あの子をお前んちに連れてってもらえる?別にここにいてもらってもいいんだけど、啓輔と仲良さそうだし、色々とそっちの方がいいだろ」

「ああ、そうだな」

 陽さんは「車出すから」と言い残して玄関へと向かう。

 その後ろ姿を見ていると、いきなり横から、華さんにきつく抱きしめられた。

「大丈夫。大丈夫。千紗ちゃんの彼氏なら陽みたいに、こうやって抱きしめて『華は華だろ』って言ってくれるよ」

 なんで、華さんは私の考えてることが分かるんだろう。

 同じような経験をしたから?

 ううん。それだけじゃないと思う。

 同じような経験をしたからって誰でもそうじゃない、気がする。

「でも、気持ち悪いって言われたら……」

「彼氏を好きなら愛してるなら信じなきゃダメ」

 その大きなブラウンの瞳から、華さんと陽さんの絆を垣間見た気がして。

 私とタツキにだって、絆、あるよね?

 タツキに限って………。

「ここだけの話。あたしと陽が付き合う前の事だった。まあ、色々あったんだけど。あたし達、略奪愛カップルだからさ」

『略奪愛……?』

 見事、啓輔と私の声は重なり、華さんを凝視する。

 略奪愛って、無理やり奪い取った愛みたいなことですよねぇ?


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