生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「当時あたしには付き合ってた人がいた。 もちろん、大好きだったし仲も良かった。
なのに、ね?陽ったら、彼の目の前であたしにキスしたのよ? しかも、ディープ。 それが原因で別れて、まあ、そのあと色々あって付き合うようになった」
「ヒナならやりそうだな……」
「結構、強引な人なんですね」
「千紗ちゃん、足りない足りない。強引、自己中、我が儘……まだありそうじゃない?」
茶目っ気たっぷりに笑う華さんは可愛いらしくて、略奪したくなる陽さんの気持ちも分かる気がする。
ちらりと時計を見た華さんは、「ケイちゃん陽に怒られるよ」と言ってキッチンに向かった。
「千紗、行くぞ」
とぶっきらぼうに言ってるけど、私の荷物を持ってくれてるあたり、優しさを感じる。
玄関に行くと、少し不機嫌な陽さんが啓輔の頭を叩いたけれど。
嫌な感じは全然せず、むしろ相当仲が良いんじゃないかと思ったくらい。
さっきとは違ったシルバーの乗用車に乗り込んだ私達は、特に会話もせずに啓輔の家に着いた。
陽さんとの別れ際、お礼を言って華さんにも伝えてもらうよう頼み、車を下りた。