生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 啓輔の親は総合病院の院長っていうこともあってか、啓輔に一人暮らしをさせる余裕がある。

 そのため、啓輔の家は10階建てマンションの一室。

 エレベータで8階まで向かうまでの間、今までのことを啓輔に話せば、

「お前は頭良いんだか悪いんだか分からねぇ」

 と一言だけ言って、エレベータを下りた。

 啓輔の家は1DK。

 黒のラグに白いテーブル、黒のソファーとざっと見てモノクロで家具は揃えられている。

「とりあえず、ミドリかユウに電話」

 ポケットから携帯を取り出して、ミドリに電話をかける。

 携帯を握っていたのか、1コールでミドリの泣き声が聞こえた。

「……ミドリ?」

『ちぃーっ!! 大丈夫?! 今どこ?! 誰と一緒?!』

「大丈夫って言ったら嘘になるけど、今のところ大丈夫よ。今、啓輔の家にいるわ。もちろん、啓輔と一緒」

『佐野は……?』

「…………あのね、ミドリ……」

『啓輔くんといるなら代わって?ちぃ、嘘つくんだもん』

「……うん」

 緑茶を入れたコップと交換に携帯を渡す。

 携帯を受け取った啓輔は、キッチンの方でミドリと話し込んでる様子。

 私はコップに口をつけて、口当たり爽やかな緑茶を飲む。

 一口飲んだ後、コトリと目の前のテーブルにコップを置き、膝を抱える。

 4年前もまた、こうやって啓輔の家(あのころはまだ実家に住んでたわね)に来ていたっけ。

 ああ、そうだ。このことは、祥也には黙っててもらおう。

 だって、せっかく良い恋してるみたいだし、ね。


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