生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 恐る恐る声の方を見れば、

「……たっちゃんっ!!」

 タツキが壁に寄りかかってこちらを見ていた。

 ………やだ、どうしよう。

 佐野が私にしたこと、言いたくない。

 だって、嫌だったのに、気持ち悪かったのに、私の身体は理性を選ばず快感を選んだ。

 そのことも含めて、私は何度も何度もタツキを裏切った。

 私は、タツキの眼差しから逃げるように視線を泳がせ、一歩ずつ後ろに下がるしかない。

 ぎゅっとスカートを握りしめ、行き場のないこの感情を飲み込む。

 不意に。腕が引っ張られ、知らぬ間に震えていた身体は温もりに包まれた。

「……ゆう、た、ろう……?」

 私を抱き寄せたのは、タツキではなく雄太郎。

「雄太郎。お前はまた俺に殴られたいのか?」

 聞こえてくるのは、タツキのひどく冷たく低い声。

 それでも、腕を緩めない雄太郎は、私の耳元で。

「……もし、たっちゃんが別れるなんて言いだしたら、俺が殴りに行くから……」

 とことさら優しい声で囁き、腕を緩め私から離れていった。



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