生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
涙の雨に見える虹


 エレベータから、いいや、雄太郎が帰ってから。

 ずっと無言のタツキは、私の手を引っ張り、寝室までやってきた。

 久しぶりに帰ってきた家に対して、懐かしいとかやっぱり居心地が良いとか感じる隙もないくらい、私は切羽詰まっていて。

 さすがに、何か話してくれるだろうと思っていたのに、タツキはベッドに身を投げたまま、俯せのまま微動だにしない。

 そんなタツキがひどく怖くて、私はその場に座り込み声を押し殺して泣いた。

 泣いてどうにかなるとは思わないけれど、泣くしかなくて。

 今タツキが、何をどう思っているのかも何も分からないまま、部屋の隅まで移動した。

 やっぱり今日は、実家に帰った方が良かったんじゃないかって。

 それか、このまま消えてしまいたいと思うくらい、私は追い込まれていた。

 少し前に聞いた、タツキの声は、私を誘き寄せるための罠だったの?

 あの時の電話は、怒っているより心配そうな声音だったから。

 私はまんまと引っ掛かったってわけ?

 会った瞬間抱きしめてくれると思っていた私が馬鹿だったのよね……。


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