生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 そう思うだけで、ぎゅうっと心臓を鷲掴みにされたような痛みが走る。

「……千紗? どうしたの?気持ち悪い?」

 背中を優しく撫でられるだけで、タツキがどう思っているのかさらに分からなくなって、視界が歪む。

 突き放すなら突き放してほしい。

 そんな、癖になるような優しさなんていらないの。

 涙が止まらなくなってきた私をキツく抱きしめるタツキは「ごめんね」と悔しさを滲ませた声で言った。

 どうせ、話した後の結果くらい安易に予想ができる。

 なら、思い切って話してしまえ。

 それで、『汚い』など嫌われ、別れるくらいなら、タツキの優しさにどっぷりハマって抜け出せなくなる前に、全てを話そう。

 私は無理やり涙を止めて、震える声を振り絞り帰り道の出来事を淡々と話した。

 どのくらいの沈黙があったのだろうか。

 お互い何も話そうとせず、タツキは私を抱きしめている。

 ねぇ、タツキ。

 お願いだから正直に言って。そうじゃないと、私、諦めがつかないじゃない。

 いいよ。覚悟は出来てるから。


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