生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「……あのね、タツ――」

 私が名前を呼び終わる前に、タツキは私の背中に回していた腕を緩め、寝室を出ていった。

 これが。これが、タツキの出した答え。

 私と別れるってことよね?

 予想してたことだからこそ、私の心は悲鳴を上げ、泣き叫ぶ。

 次から次へと零れてくる涙を拭うのさえめんどくさくて、おぼつかない足取りでベッドから下りた。

 最後に『ありがとう』くらい言いたかったわ。

 そう思いながら、リビングではなく玄関に出るドアを開けた。

「………どこ行くの?」

 寝室から身体半分出たところで、私の脚は止まった。

 背中から聞こえてきた声に、振り向かず私は「家に帰るの」と言い放つ。

「え?千紗の家ってここじゃないの?」

「………出ていくの」

「どうして?」

「どうしてもっ!!」

 声を荒げた私に、タツキはため息ひとつ。

「どうしてもって言うなら、最後にちゃんとお話ししよう」

「そんなことっ……」

「意味のあることだから。俺は、例え千紗が号泣しようとも話さなくちゃいけないくらい、重要なこと」

 もう泣いてるわよっ、という言葉を飲み込んで、振り返ればふわりと抱き上げられた。


< 351 / 361 >

この作品をシェア

pagetop