生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
◆……
でっかい屋敷の玄関を開く。
玄関に一歩踏み入れば、しれっとした表情のコマチさんが出迎えてくれた。
千紗の迎えで毎日この屋敷に来るのだが、毎回夜遅くなってしまうため、お手伝いさん達には出迎えはいらないと言ってある。
「コマチさん、こんばんは」
丁寧に挨拶をして手を出すが「フンッ」と鼻をならし、俺から顔を背け上品に歩き始めた。
コマチさんってもしかして、千紗を俺に取られたことを怒ってるのか?
だとしたら、この無愛想な態度の理由がつく。
はぁー、いつになったら俺を認めてくれるんだ、なんて考えていると「ニャー」とひと鳴き。
「はいはい。付いていけばいいんだろ?コマチ様」
再び前を向き、ふっさふさのしっぽをふりふりさせながら歩き始めた。
そんなコマチさんの案内の下、廊下を一歩二歩と進めながら窓の外に目を遣る。
千紗はあんまり好きじゃないこの長い廊下も、こう庭を見ながら歩けば楽しいのに。
それにしても、凝った庭だ。
日本酒とか、なんかのコマーシャルに使えるくらい手入れが施されている。
名前は分からないけど、竹で出来てて水がはいると『カコンッ』っていうやつとか、小さめ(って言ってもこの庭に対してだけど)の池に、ニシキゴイが数匹、そういえば、蓮の花もあった。