生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
「千紗……今日帰れると思う?」
「…帰るつもりでいるけど?」
はぁーと深いため息をつき、片方の紙袋を下に置き空いた手にマイクを握った。
『生徒会会計からの連絡です。
今日の放課後緊急ですが予算会議を行いたいと思います。
各部の会計の人は、顧問・部長と話し合い来期の予算を提示して下さい。
締め切りは、今日の5時にします』
3年生のほとんどが教室に戻り、1、2年生しか残っていない体育館に雄太郎の声が響いた。
「………うそっ!今日、予算会議するの?っていうことは、その紙袋って……」
「そのまさかだよ、千紗。このファイルには、各部、今期の部費請求書が入ってる。
今日の予算会議で、部費請求書に全部目を通して無駄なものがあったらその部に注意する。それで、無駄なものを省いた各部の予算を出す」
「もしかして、それを今日中終わらせなければならない?」
「運動部は、今日中に終わらせないとダメかな。道具の準備とかあるだろ?
文化部は、明日終わらせれば間に合うよ」
「はぁー」
「だからぁー!幸せ逃げちゃうでしょー!
ハヤシっちー、5時締め切りってことは会議は5時から?」
「うん、そういう事だね。だから5時まで部活だね」
「……会議5時からで何時に終わるの?」
「うーん…分かんないな。4人の頑張りで…ね?」
スーっと空気を肺に溜め一気に吐き出そうと思ったけど、またミドリに幸せがどうとか言われるだろうから溜めた空気を少しずつ何回かに分けて吐き出した。