生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜
地獄の予算会議と恋する気持ち
「あ"ぁぁっ!」
「ちぃうるさいなぁ」
「無理っ!こんなの無理っ!目が痛いのよっ!」
紙袋に入っていたファイルを1ページずつ丁寧に見ていく。
だが、そのファイルに綴(と)じてある紙には細かい字が印刷されているためとてもじゃないけど目が疲れる。
「…坂桑、静かにしろ。口ではなく手を動かせ」
ミドリに続いて私を叱ったのは、書記の広川卓也(ひろかわたくや)だ。
なんというか、ザ・真面目人間。
切れ長の目にキラリと銀色に光る細いラインの眼鏡に中途半端な長さの黒髪。
雄太郎は人気があるのは分かるがタクに人気があるのがいまいちよく分からない。
「だって予算会議始めてからもう1時間半。今日中に終わるの?」
「お前が、口ではなく手を動かせば終わる」
「そうだよ。ヒロっちの言うとおり。ちぃ、手動かしてね」
「……分かったわよ。
雄太郎、あと、どのくらいで終わる?」
「ん?…………あと、この黄色のファイルで運動部の分は終わるかな。
そしたら、同好会の今日中にやる分だね。同好会多いからな…」
「…ざっと見て、あと1時間ってとこかしら」
ざっと見てよ?ざっと見て!
「ちぃ…楽しく1時間以内に終わらせなきゃね?」
クリクリっとした大きな目でそんなこと言われたら死ぬ覚悟で1時間以内に終わりにしなくちゃじゃない。