時には、こんな始まり方も
私の涙が止まると、手を繋いでゆっくり歩き出した。


温かいマサ君の手。

これからは、憧れじゃなくていつも側にあるんだね。


幸せな気分に浸っていると、マサ君が大あくびをした。


そっか。
確か一睡もしてないって。

「ね、マサ君寝てないんだよね?私やっぱり帰るから、帰って寝た方が」
「駄目だ。」


「駄目って、でも…。」


するとマサ君は、私の方を見ながらちょっと意地悪な顔でニヤッと笑った。

「俺が寝てないのって、誰かさんが素っ裸でベッド占領しちゃったからだったよね?さんざんその気にさせておいて、自分だけぐっすり寝てるし。」


思ってもみない言葉に、顔が爆発したみたいに真っ赤になる。

そんな私を見ながら、マサ君は言葉を続ける。


「だから、今日は責任取って貰うまで帰さないよ。」

マサ君の瞳が妖しく光った気がする…。


「せきにん?」


「そ。とりあえず俺は眠いから、帰ったらすぐ寝るけど。雫には隣にいて欲しいから…」


!!?

突然マサ君が抱き締めてきた。

ドキン、ドキン…。

心臓の音が聞こえてしまいそうなくらい大きくなる。

「こうやって、雫を抱き締めて眠らせて?」


ええーーー!?


無理無理無理、絶対ムリ!

私緊張して頭が変になっちゃうよーーーーー!!

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