あれは多分 短くても恋
Scene #1
放課後の音楽室
夕日でオレンジな部屋でピアノ弾いてたら
そのオレンジより派手な金髪の武彦が入ってきた。
たまに来る学校で見かける彼は
何に怒っているのかいつも怖い顔して。
友だちと一緒にいても笑った顔を見たことがなかった。
音楽室に入って来た武彦は何も言わずに
すっとピアノの横に来て
じーっとあたしがピアノを弾くのを見てた
話したことないしちょっときょどる。
「ねぇ アレ弾ける?」
「は、はい (;*゜-゜)」
(確か一個上だっけ??
あんまり学校来ないんだよね。。この人。)
彼のリクエストに応えて弾いた。
(へぇ こんな曲好きなんだ。意外だなぁ)
彼の見た目からは想像できなかった曲だけど
一生懸命弾いた。
ちら、と横を見ると
頬杖をしながらあたしを見てる目があった。
(え 笑ってる・・・)
見たことが無いやさしい顔で。
金髪が光に透けて 天使みたいに・・・
微笑んでた
思わず指が止まった・・・・
気がつくと顔が目の前に・・・
ほんの一瞬だったかも知れないKISSは
とても甘くて長い時間に感じられた。
「ありがとうな」
あたしの身体を抱きしめる手があったかかった。
部屋を出て行く後姿に
「行かないで」 って気持ちになったのは・・・
なぜだか涙が止まらなかったのは・・・
彼がいなくなることを 予感していたからなのだろうか。
次の朝 彼がこの世界から消えたことを聞かされた
あのとき彼のココロになにがあったのかは
わからないけど
あたしはいい思い出に なれたのかな。
そうだといいな・・・