ボクと僕。
さらに一時間後。
テキパキとできあがったばかりの料理を運ぶ坂田。エプロンが揺れるたび、僕はなぜかドキドキしていた
キッチンとリビングを3~4往復したころで
テーブルの上は何とも豪華なことになっていた
「ごめん~!今日はちょっと楽しくなっちゃって、作り過ぎちゃったけど。まぁ…残したらぶっ飛ばすからね♪」
「…ね♪」…ってあたりが…僕は怖いんですけど…
しかし…驚いた。坂田って料理できたんだ…
「何?悪い?」
坂田の目が据わっていた…
僕はブンブンと大袈裟なほど首を横に振った
「そうそう、素直でよろしい!それじゃ、いただきまーすっ♪」
そういうやいなや次から次へと手を伸ばし、自分で作った料理を美味しそうに食べていった
坂田の食べっぷりを見てるだけでもアレなので…僕も食べることにした
それじゃ、いただきます…。
パク…モグモグモグ…
「…どう?」
気が付くと、坂田は僕が食べるのを待っていたようにそう聞いてきた
いやホントに美味しいよ。この野菜炒め。
「それ、ホイコーローね」
せっかく作ったのに…っていう坂田の…明らかに不機嫌そうな顔;
え…っと…じゃあこっちのも…
パク…
ん、やっぱり美味いよ!こっちの煮物も!
「はいはい…。」
もう僕の言うことに興味もなさそうに、静かにタダ黙々と食べるだけになった…
いや、ホントに美味しいんだけど…さ。
この沈黙…。
味なんて…わかるか…っ!