貴方に捧ぐ初恋




女の子たちに囲まれて、私は戸惑う。




1年のクラスには、ポートのチームメイトがほかに2人いた。




その子達も戸惑っているようだ。




「ねぇ、それって中田さんでしょ?」




私は、そうは思ってなかった。




私が安心してゴールができたのはもう一人のゴールがいたから…。




「どこで聞いたの?」




私はその女の子に聞いた。




「コーチがよく私に言ってたんだ。」




「でも、私じゃないと思うよ?愛流(メグル)ちゃんじゃない?」




愛流ちゃんとはもう一人のゴールの子の名前。




「メグルちゃん?」




「あっ、酒井さん。5組の…」




「そうなんだ。でも、一つだけ聞いていい?」




その女の子は私に聞いた。




「中田さんと酒井さん、どっちの方が背、高い?」




そのときは、酒井さんより私の方が背、高かった。




「私だけど…。」




その女の子が、確信を持って言った。




「じゃぁ、中田さんだよ。いつもコーチ言ってたし、M小の背の高い方のゴールだって。中田さん、有名なんだよ?」






初めのころは良かったんだ。




こんな名誉的な噂だったから…。





そんな噂がどんどん変化していく。






< 22 / 81 >

この作品をシェア

pagetop