貴方に捧ぐ初恋
「もしもし、なべ?久しぶり?元気?」
『…。』
「体調とか大丈夫?」
『…。』
「学校楽しくないとか?」
その言葉に反応してか、渡部は言った。
『学校行って、うまく友達作れて、楽しく行けてたら良いな。俺は中田とは違う人間だろ。そして、もう話しかけないって言ってただろ。もう、俺とオマエは関係ないんだからこれ以上踏み込んでくるな!!』
そういって電話を切られてしまった。
正直に言うとね、励ましたかったの!!
私もいるから一緒に頑張ろうって!!
でも、貴方の性格を忘れていたの。
プライドが高かったってこと。
女にそんなこと言われたくなかったんだって。
気づいたのは大学に入学したときだった。
その時は、ただ、言われたことが悲しくて…
私は、暗くなっていく部屋で一人、受話器を持ったまま声を上げずに泣いた。