チョコと焼酎~   st.valentin



1Kの狭いキッチンで、竜二がフライパンを振っていた。



「おはよ。


やっと起きたか」



「あの、


おはよ」


脳が無駄に高速回転していて、答えが見いだせない。


「おい、朝メシできたから顔、洗ってこいよ。


洗面所そこ」


指差されたドアを見てとりあえず入る。



目の前の鏡に映る、私。



昨日の日焼けで少し赤くなってるけど、いつもと変わらない。



なにも変わらない。


そりゃそうだ。



アイツは、私を女と思ってないんだから。



顔を洗って部屋に戻ると、小さなテーブルにフレンチトーストと野菜ジュースが乗っていた。




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